PONY's Aquaism
結構難しい
ビオトープを攻略せよ

長い間、様々なタイプのアクアリウム(熱帯魚)を楽しんできた。小さな魚を買ってみたり、様々な水草や熱帯魚を飼育したり。大型のライトやフィルターを上や底やらに設置、時にはCO2添加なども。ところが、予想外にトラブルも多い。ヒーターの故障、コケや貝の大繁殖、エビ達のある日突然の死滅、魚達のケンカ、寿命等で魚の飼育数がアンバランスになり、・・・等々。
何より、水替え作業が苦労であり、伸びてしまった水草のトリミングの煩わしさもハンパない。加えて、メンテナンス用品の費用もバカにならない。
アクアリウムと言えば、熱帯魚飼育の経験者やマニアが楽しむもの、なかなか難しいもの・・・そんなイメージです。
ここで紹介するのは、佐渡で採取した石や自然木と水草などの生体を用いてデザインしたものですが、エアレーションもヒーターもエサやりも不要な、「ただただ眺めるだけ」の簡単アクアリウム。
簡単だからこそ、様々な容器や水景に対応可能。ならばと、これまでのアクアリムには無い発想で、レイアウトを考えてみました。

デザインに飽きたら、あるいは水が汚れてきたら、お部屋の模様替えの様に、配置を変えたり、アクセサリを変えたり、容器を変えたり。簡単アクアリウムだからこそ、初心者にも容易に制作・変更可能。これを参考にされ、ご自身でも「簡単アクアリウム」に挑戦してみて下さい。

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  ビオトープについて 水上葉と水中葉 水草の植え付け 簡単アクアリウム グラスアクア(Glass Aqua)
  こぼれ話 水草販売 アクアリウムまめ知識    

それでも、自然と接する景色や作業はとても癒され、止めようと思った事は無い。手間をかければ生体は元気になり、手を抜くとひどい状態になる。ガーデニングにも通じるところか。

ビオトープについてもネット情報が散乱しているが、中には誤った内容やプロ業者の無駄な情報(不要器具の購入を薦める目的)など、これからビオトープを始めようとする方々の足を引っ張りかねない様な記事も少なくない。理由は一つ。現場を知らないビジネスライクな記事だからである。あるいは偶発的事象か。実際にビオトープを自作して、失敗して悲しんだり上手くいって喜んだりした方のコメント、苦労を重ねながらの実践的なコメントは少ない。ビオトープに限らず、無責任な投稿が多いインターネットの根本的な課題が、ここでも見え隠れする。

ビオトープは、水草にとっては自然の生息環境に近いので、慣れてくれば育成はとても簡単です。肥料、換水、ヒーターなどは不要で、必要なのは、水と日光だけです。しかしながら、ビオトープは生き物なので、手を抜くと一気に意にそぐわない姿となります。勝ち組と負け組に差が付き、完敗すれば死滅します。完勝すれば、手に負えない位に大きくなり、数も増えます。増え過ぎたからといって、ビオトープ外への廃棄は絶対に止めて下さい。可愛そうな気もするが、ご自身で「燃えるゴミ」として廃棄してください。
ビオトープ用の水草は、ホームセンターではなかなか入手が難しく、熱帯魚屋では水中葉が中心なので、これをビオトープに利用するのも難しい。生体確保が問題となり、インターネットで購入するのが一番の方法と思われる。そこで、栽培用のビオトープと鑑賞用のビオトープ(またはグラスアクア)を使い分けると良いでしょうか。栽培用のビオトープは、誰に見せる訳でもないので、放り投げるようにして入れておけば、勝手に成長するでしょう。事実、アクアリウム用水草の予備用として、ビオトープを設置している方も少なくない。

  ビオトープについて(ポイント)

 

1. ビオトープとは、身近にある容器で自然環境をできるだけ再現し、自然の生きる姿を楽しむ事である。ところが、ネット記事によれば、土壌はどうだ、水質管理はどうだ、器はこうでないと、肥料はこれが良いなど、実践現場には好ましくない内容も多い。水草がその環境に適合しようと一所懸命に生きて行こうとする姿こそがけなげであり、愛おしくなる。水草の成長を手助けしようなどと思うから、様々な面倒が生じる。余計な事などせずに、水草の様子を観察し、嫌がる事だけを排除してあげれば良いのだ。まさに「余計な手間・暇は、水草にとっては余計なお世話」なのである。

2. まず、設置場所についてだが、直射日光が当たらず、適度に明るく、風通しの良いところが良く、湿度も高いほうが良いだろう。何せ、水中でも生活できる程に水好きな水草達だから。ウォーターマッシュルームやハイグロフィラ、リシマキアなどは、直射日光でも平気である。もちろん、根の部分が水上にある植物では、さにあらずだろう。しかしながら、様々な種類の水草達の共同生活場である以上、一番環境に弱い成体の都合を聞いてあげるのが一番良い。生体に活力がある場合には、それなりの環境でも萎れる事はないが、植え付け直後は、直ぐに萎れたり葉が黄色くなってしまう。これらを全て満たすのはなかなか難しい条件であり、この条件がキープできないところが、長続きしない、あるいは調子が上がらない要因かも知れない。
直射日光が当たる場所であれば、上部に背の高い植物を植えるか、さりげなく何かで上部を覆ってしまうか。窓際であれば、日差しの管理は容易で、窓を開けておけば風通しも良いのでお薦めである。また、一日に一回でも良いが、霧吹きすると良い。

3. まず土壌についてだが、土や肥料などは要らない。細かい砂を3cm位敷いておけば良い。水はけが良いし、根も張り易い。バクテリアも沢山棲み付く。古くから水草を楽しむ水槽では、エビ水槽などの例外を除いて、標準は砂地である。植物の主食は光合成であり、肥料はおかずにもならない位の気休めである。ビオトープで利用する水草の多くは根からの水分吸収も多く、自立する必要もあるため、根が十分に張れる深さは確保してあげたい。容器の縁を越え、まだ成長を続けている姿を見れば、植え付け当初は底砂も必要だろうが、根付けば殆ど不要な存在なのだろう。
あまりやってはいけない事だが、砂地であれば、抜き取りや植え替えも容易である。

4. ビオトープで一番重要な事は、自然の循環環境をいかに上手く作り出せるかである。基本的には、水草が光合成によって二酸化炭素を酸素に変え、魚たちは酸素を吸って二酸化炭素を吐き出す。魚たちのフンや死骸、枯れた葉は、バクテリアの活動を経由して水草の肥料となる。水草の枯れた葉や根は、魚たちのエサとなる。コケは、エビの主食でもある。
つまり、適度な光と、適度な土壌と、この循環を維持できる水草や魚・エビの飼育数のバランスが、一番のポイントである。そして、水上にまで生活の場を広げる水草もあれば、水中でしか生きていけない水草もあり、水面に浮かぶ浮草などもある。また、日光が好きな水草、日光が嫌いな水草、冬場になっても平気な水草もあれば、根だけを残して枯れる水草、あるいは、そもそも越冬ができない水草・・・。これらは、経験してみないと、本当のところは分からない。
それぞれの生体が好む様々な環境を、小さな器の中で如何に再現できるかこそが、ビオトープの極意であり、ご自身のノウハウとなる。ちなみに、適度な水草があれば、これらが水質改善の役目を担い、水替えやフィルター等は不要

5. ビオトープに水草を植える場合には、ある程度、投入する水草の性質を知っておく必要がある。基本は、背が高く成長が早い水草は後部に、成長が遅く背が高くならない水草は前に植える。匍匐する(横に伸びる)傾向のある水草は、容器の周辺に外に向かって植え込む。水草の背が低くても、根元は土壌の一番深いところまで差し込む事。また、水上部と水中部はなだらかな斜面を形成しながら容器底へと導くのが良い。山奥にある池か小川の様。水中の土壌が平らなのは、水景変化に乏しく、あまりお薦めしない。容器が小さい場合には、間に小石などで前後を仕切る様に境目を付けると良いだろうか。水中用水草は必須であり、水中への光量抑制のためには、浮草もあった方が良い。
ちなみに、弊方が試みている水草は、アクアリウム(水中育成)でも使用可能な種類ばかりである。実は、簡単アクアリムで通常のアクアリウムにある様な、とても色彩豊かなアクアリウムを実現させたいとの思いがある。ところが、これらの種類は、どうやら長時間の直射日光は苦手の様で、萎れてしまう場合が多々ある。或いは、萎れなくても葉が黄色くなってしまう。ビオトープを始めた直後は、一日何回かは生体の様子を観察し、設置した環境が生体に適しているのかどうかを確認する必要がある。
一番避けたいのは、面倒くさいと、購入したポットのままビオトープに入れてしまう事である。ネットの紹介写真でも、この状態を多く見かけるが、お薦めしない。そもそも自然な状態ではなく景観も悪いし、上記の自然循環の一員になれない。もっとそもそもには、面倒くさがり屋には、ビオトープは似合わない。

6. ビオトープを始めた当初は、出来上がった水景も満足すべき程に良いと思うが、時間の経過と共に、意に反する事が起きてくる。縦にも横にもどこまで伸びるのかと思うもの(成長が早い)、枯れないものの植え付けた当初と殆ど姿が変わらぬもの(成長が遅い)、萎れ枯れてしまうもの(環境に合わない)、コケの大繁茂、エビやカボンバなどの大繁殖、・・・。
この問題を克服し、水草達が活力を取り戻した姿こそ、ビオトープの醍醐味であり、自然が宿るビオトープの美しさ(自然美)である。対応は様々だが、水草達に注ぐ愛情にも大きく左右される。手を抜けば枯れるし、手を加えれば大きく育つ。
コケの発生原因の多くは、水中への光量が多過ぎる事と水質悪化(養分過多、バクテリア不足)である。つまり、バランスが宜しくない。水面に浮草を浮かべて光を遮り、水中の水草を増やして水質改善を図ると、その多くは消滅する。また、水が緑色になるのは、植物性プランクトンであり、魚にとってはむしろ好ましい環境である。とは言え、中が見えないのは、ビオトープの楽しさを半減させてしまうが。多めの量の水替えを行い、水中での水草を増やし、水面に浮草を多めに浮かべ、直射日光を避けるように工夫すれば、綺麗な水に変化していくと思います。つまり、プランクトンの食べ物(水中の養分)を減らし、好きな環境(日光)を排除する事でしょうか。間違っても、水質改善用の怪しい液体などを入れるべきではない。あくまでも、生体を利用しての環境改善が原則である。

7. そして、最大の山場は越冬である。氷が張った池の中でも成長を続ける「南米ウィローモス」には驚かされるし、「ホテイアオイ」はどうやっても越冬できない。カボンバは4月頃から活動を再開し、枯れてしまった様になっているアナカリスは6月頃から活動を始める。メダカ、ミナミヌマエビ、金魚やらんちゅうなどは水の表面が凍っても平気。
ニテラやアマゾンチドメグサなどは、室内でなんとか越冬できる程度で、水草の多くは屋外では越冬できない。
枯れてしまうから面白くないは、まだ初心者。「運転できないから、車は運転しない」と同じ。ならば、運転免許を取得して、便利な車を活用しようではないか。越冬する条件は、水草によって様々であるが、水草の特性を知り、その対応を施し、翌春に新芽を展開し始めた姿を見た時には、「お~っ」と声が出て、格別の喜びを感じるでしょう。

8. 全てかどうかは分かりませんが、日光の状態によって、水草達は総じて次のような状態になります。
(1)日光が少ないと、葉は淡い緑で細く小さい。茎丈が長くなりヒョロとした感じ。いかにも陽を求めている感じ。
(2)もう少し(1~2時間)日が当たる状態だと、葉は濃い緑、葉は大きくなる。水草として一番見栄えがする。
(3)半日日陰くらいだと、葉は少し小さくなり葉に厚みが出て、赤や茶色などのそれぞれの固有の色が付いてくる。種類によっては、嫌がっているようにも見えますね。
(4)陽が良く当たる場所を好む水草は少ない。アオミドロなどの醜い藻類が大量発生するので、避けた方が良いでしょう。
水草にとっての最適な環境が異なるので、どの環境が最適なのかを探ってみて下さい。(2)~(3)の状態が、一番好ましいと言う印象です。日光が好きな水草と嫌いな水草を一緒に植える場合、何かで部分的に日を遮る、背の高い水草の下に植え込むなど、いろいろと工夫をしてみるのも楽しいです。

 

ビオトープは、紛れもなく自然を相手にした趣味であり、自然を愛でる楽しみである。自然に向かい合い、自然を気遣い、自然を思いやる・・・。相手を思いやり、思いやった相手から喜びをもらう、まさに社会生活の基本でもある。大袈裟に言えば、ビオトープを楽しむ事は、水草と共に、ご自身の人格(思いやりのある人間性)までも成長させる事でしょう。

水上葉と水中葉について


水中葉と水上葉の説明をする前に、水草の自生環境について少しお話をします。カボンバやアナカリスは、もともとが水中でしか生育できないので、水上葉は存在しません。一般的な水上生活の植物は、水没させると溶けて枯れてしまいます。一般に言う「根腐れ」で、根からも大量の酸素を吸収するのですが、水が多いと酸素が取り込めずに枯れてしまうのです。ところが、湿地帯や水辺に自生している植物は、根元の水分量が常に多いため、根からよりも葉から酸素や水分を吸収します。これらは、葉の活力が強いため、根元をカットされても枯れる事が無く、しばらくすると葉元付近から根が生えてきます。
ちなみに、植物は二酸化炭素(CO2)を吸って酸素を生成しますが、これは光合成の結果であり、光合成ができない夜間などは、動物と同じ様に酸素を吸って二酸化炭素を出します。
従い、湿地帯や水辺の植物の多くは、水中でも成長を続ける事ができます。但し、やはり水上と水中では環境が大きく異なるので、植物によってはその姿を大きく変える事があります。

1. 水中では、光の量も二酸化炭素の量も低下するので、成長は続けられるものの、その環境があまり得意ではない植物があります。一般に、アクアリウムで「難易度が高い」と言われる植物です。これらの植物を水槽内で飼育するには、強い光を当て、二酸化炭素を添加(二酸化炭素発生装置を水槽内に設置)する必要があります。例えば、浮草の一種である「リシア」などです。しかしながら、これらの条件は、アクアリウムの大敵である藻やコケ(そもそもリシアはコケの一種)にとっても好条件となるので、その対策も合わせて行う必要があります。

2. 「難易度が低い」と言われる植物でも、少ない光と二酸化炭素の環境でも植物は生き続けようとして、葉を大きく広げたり、時には葉色を変えたりします。オランダプラントなどは、別種かと思う程に変化します。一方では、ハイグロフィラなどの「初心者向け」の種類の多くは、この変化も少ないです。

3. 水上葉を水中化するのは比較的簡単です。と言うか、そのまま水中に沈めても問題ありません。但し、水上葉が暫くすると水中葉に変化するのではなく、水中で新たに展開した葉のみが水中葉になります。水中で赤色に染まる種類は、水上葉が緑色のままで、新芽から赤くなるので、花が咲いた様に見えます。

4. 一度水中化した生体を、再び水上化させるには、それなりの工夫が必要です。水中葉は、薄く細くて繊細なので、水上では自重+水滴に耐えられずに倒れ、強い光に耐えられずに萎れてしまいます。
そこで、浅い容器に少しだけ水を入れ、水中で育成させた水草(トリミングの残りなど)を横向きに寝かせ、まずは全体を水没させます。暫くすると、新芽が立ち上がり、徐々に水上へと伸びていきます。水上葉が十分に伸びてきたら、適当なところでカットして、ビオトープ等に移植します。水上までは芽を伸ばさないタイプは、水上化ができない種類になります。

 

  ビオトープに購入した水草を植え付ける時の注意点

 
販売者の責任は、生体をダメージ少なくお客様へ届ける事までであり、受け取った生体を無事に回復させ、成長を維持できるように環境を整えるのはお客様(購入者)の責任です。多くの販売者が交換や返金に応じるのは、受け取った直後の状態を写した写真に基づいて判断されます。「上手く回復できなかった、直ぐに萎れてしまった」は、販売者の責任ではない事を、先ずはご理解ください。
そこで、失敗を少なくするために、生体を回復させる方法を次にご紹介します。これは、数年間にわたり多くの生体を購入し、失敗も経験しながら、より確実に元気にさせる手順としているものです。

1. インターネットで購入する場合が殆どだと思いますが、水中葉の水上化はなかなか難しい(下記7)を参照)ので、水上葉に限定して購入して下さい。特に夏場は、輸送のダメージを大きく受けています。到着したら速やかに開封し、1本1本をバラして、浅い容器に水を入れて、水草全体を横向きで水没させます。水中に入れる事により、葉からの水分蒸発を防ぎ生体内の水分量を確保し、いち早く活力を取り戻すためです。ちなみに数日間の水没程度では、水中葉に変化する事はありません。大体、芽が横や下向きになっていますので、早く真っすぐになる様に、芽を下向きにします。受け取った状態が2)と同等の場合には、水没作業は不要です。

2. 半日または1日経った後、茎や葉がシャキっとなった事を確認します。ヘナヘナの状態であれば、更に水没の状態を続けます。

3. コップに半分位水を入れ、水草を立てる様にして入れ、葉全体に霧吹きします。この状態で、1日様子を見ます。葉や茎が柔らかくなった(萎れた)ら、霧吹きして下さい。芽の向きを、光と反対の方向にしておくと、早く真っすぐになります。

4. 3)の状態で1日経過すると、殆どの場合、下の葉の付け根部分から、白い根が出てきます。これで、根からの水分供給が始まりますので、生態としてはほぼ回復していると見て良いでしょう。コップに入れたまま、ビオトープを設置する予定の場所に置いて、1日様子を見ます。殆どの植物は、暗くなると葉を閉じるので、この動きが始まったら一安心です。

5. 4)の状態が維持できれば、ビオトープに植え付けです。一番下にある(砂地に入ってしまう)葉を葉元から2~3ミリ残して切り取ります。根が付いている場合にも、5ミリ位を残してカットします。古い根や砂地に潜り込んだ葉は、そのまま植えても枯れてしまい、水を汚すだけなので、取り除きます。
根元をピンセットでつまみ、ビオトープに植え付けます。左右に振りながら差し込み、一番下まで到達したらピンセットを広げて水草の根から遠ざけ、広げたままピンセットを抜きます。ピンセットの先などを使って、根元に砂をかけて終わりです。上手く自立できない場合には、砂の量が不足(最低でも3cm位は必要です)していますので、足して下さい。

6. 未だ根が十分に張っていないので、葉が萎れるかもしれません。その場合には、全体に十分に霧吹きして下さい。どうしても萎れてきて仕方がない場合には、3)から(あるいは1)から)やり直しです。どうしようかと悩むなら、やり直した方が良い結果になります。霧吹きが要らなくなった時が、十分に根が張った時です。この状態になれば、直射日光にも耐えられるでしょう。但し、水中化可能な種類は、直射日光にも弱い傾向がある様に思われます。

7. 水中葉を水上化させる場合には、浅い容器に2センチ位水を入れ、その中に横にしておきます。横向きながら水中の状態。そのまま屋外の明るい場所に放置しておくと、芽が上を向きながら成長を始めます。芽が伸びて水上部分が5~6センチ位にまで伸びてきたら、上の部分をカットして3)辺りから作業を始め、根が出てくるのを待ちます。インターネットで購入した場合よりも生体に活力があるので、ビオトープ化は容易です。
水中葉をそのままビオトープに植えると、殆どの場合、枯れてしまうでしょう。

※ インターネットで購入する場合の注意・確認事項
1) 商品説明や紹介写真が不十分な場合は、大きさや本数などが期待と異なる場合がある。特に、ヤフオクやメルカリは愛好家が増え過ぎた生体を出品している場合が多いので、ガッカリする確率が非常に高い。
 過去の実例(思ったより量が少なかった、茎丈が2cmしかなかった、梱包がとても雑)
2)「おまかせ」は、取り敢えず揃えたい場合には良いが、欲しい種類や期待がある場合には、選択しない方が良い。どの様な種類が入っていようが、クレームにできない。
 過去の実例(単品とおまかせを同時に購入したら、おまかせの中に単品購入と同じものが入っていた)
3) 配達方法が「ポスト投函(定形外郵便など送料が600円以下の安価)」の場合、宅急便の所要日数(新潟→東京で1日)より+1日の配達時間を要する。また、ポスト投函のため到着が分かりにくい。到着予定日には到着確認を頻繁に。また、到着してからあたふたしないように、事前に受入準備を済ませておく。生体なので待った無しである。

 

簡単アクアリウムの薦め

 

     
  アクアリウムと言えば、何やら難しそうで、なかなかその第一歩が踏み出せない。ここでは、簡単にアクアリムを愉しめる方法を紹介します。

アクアリウムの問題は、トラブルが多いヒーター、二番目は水質悪化、三番目はトリミングや掃除などが面倒。ならば、これらのトラブルを上手く回避し、手間もかけずに簡単にアクアリウムが楽しめないか。

基本さえ理解できれば、それほど難しくはない。つまり、ビオトープの室内版と考えれば良いのです。

1. まず容器についてだが、水景を横から眺めるので透明であり模様や色柄がない事、水草を入れるので高さは15センチ以上、水が数リットル以上入る大きさが良い。水の量は多い程安定し、つまり手間要らずとなる。水槽が余っていればそれでも良いが、せっかくならアクアリウムとは無縁の意外性のあるお洒落なガラス容器に挑戦する事をお勧めする。但し、上の開口部は広い事。狭いと大気との酸素・二酸化炭素の交換ができなくなる。

2. ヒーターは、熱帯魚を入れなければ不要。ブクブクフィルターもあった方が良いが必須ではない。ブクブクが面倒なら、水草を多目に入れれば良い。フィルターは意外と容器内で場所を取るので、無い方が良いかも知れない。ライトも、絶対に必要ではないが、意外とインテリア性が高いので、あった方が良い。せっかくなら、お洒落にしたい。ホームセンターに売っている卓上型のお洒落なLEDライトが安価でお薦め。ライトがあると、水草や魚達の色合いも鮮明になる。つまり、より綺麗に見える。但し、水草は光に向かって成長するので、横から照らすのは止めた方が良いでしょう。
※一般のアクアリウムでも、ライトを上部の手前に置くのが良いとされている。ちなみに生体の色とは、その物体から発せられるのではなく、当たった光の反射なのである。綺麗なネオンテトラも上から見ればただのメダカにしか見えない。
一般的にはアクアリウムで必須の用具も、実は不要な事が多い

3. その他には、一番下にフィルター用のマットを薄き、その上から砂利を敷く。この部分にバクテリアが繁殖するので、できるだけ表面積が大きくなるように、マットも砂利も目が細かい方が良い。砂利は、最近ではカラフルな石が売られているので、その中から白系を選ぶと良い。とてもお洒落な感じ。石を敷き終わったら、小石などの配置を決め、半分位の水を入れる。
最後に、水槽の背面に黒い紙を張り付ける。後ろが透けて見えるのを防ぐだけではなく、張り付けた紙の色と水草や魚達との色対比が、誠に効果的である。景色写真などは、更に奥行き感が出て、尚良し。熱帯魚屋さんでも売っているが、結構な値である。

4. 中に入れる水草だが、葉の形や色、背丈に配慮し、最低でも5種類以上の水草を入れる。前景部分には南米ウィローモス、中景草としてリシマキアやアマゾンチドメグサ、ミリオフィラムなど。後景草には、アナカリス、カボンバ、ハイグロフィラ、その他。赤系が一つでも入れば華やかさは増す。水草は、左右の両奥が一番の植え込みポイントで、南米ウィローモスは、石などの下に数枚敷いて、芽の部分だけを見える様にする。できるだけ手間の掛からない状態にしたければ、水草の量を多くして下さい。成長が早い水草は、その分、水槽内の養分を沢山吸収してくれます。ミニ水槽なら、上から覗き込む事もあるでしょうから、ドワーフフロッグビットなどを浮かべておくのも良いでしょう。

5. 植え込みが終わったら、水を容器一杯に入れ、ライトを付け、1週間位その状態で放置します。まだ、魚などを入れてはいけません。この間に水草がその環境に慣れて成長を始め、バクテリアも繁殖します。カルキ抜きや妙な水質調整剤、肥料など、一切不要です。

6. 一週間が経過したら、いよいよ魚達の登場です。買ってきたビニール袋を開封し、水温合わせのためにビニール袋に入れたまま1時間位水面に浮かべ、その後静かに水槽内に放ちます。水温合わせはとても重要だが、水質合わせはそれほど重要ではない。水質が合わなければ、いくら時間をかけて慣らそうとしても、体質的に慣れるものではない。ネットなどでも数時間をかけて数滴ずつ水を入れ替えている場面を見かけるが、どれほどの意味があるのだろうか。その行為が楽しいと言えば、それを否定するものでもないが。水質が魚達に適しているかどうかを慎重に判断するには、テストフィッシュを入れて1週間位様子を見るのが良い。問題なく1週間が経過すれば、メインとなる魚達を入れても良いだろう。
放つ魚の量は、1リットルに1匹以下と言われていますが、水草の量やフィルターの有無などにも左右されます。エビは、比較的多目に入れても大丈夫。
選べる魚は、ヒーターが無いので、一般的な熱帯魚は飼えず、メダカエビ類が主流になります。フィルターも無いので、飼えるのは小型種のみです。つまり、ビオトープと全く同じ。とは言え、メダカにも沢山の種類があり、中国原産のアカヒレなども可能。ガラス表面を綺麗にする貝類は必須。特にイシマキガイの掃除能力はハンパない。ミナミヌマエビにも沢山の亜種があり、真っ赤なスーパーレッドシュリンプや濃い青色のダークブルーシュリンプなども可能。ミナミヌマエビよりやや大型なヤマトヌマエビも可能。金魚などは、小型であっても止めた方が良い。

7. 立ち上げた後に必要な作業は、まずは魚達へのエサ遣りです。魚やエビがエサに群がる姿は、いと愛おし。但し、遣り過ぎには注意。5分で食べ切る程度で、これを1日に2回程度。
ライトの点灯は、1日で8時間。つまり、太陽の動きと同じです。点灯する時間帯はご自由に。
あとは、蒸発した分の水の補充、枯れ草の除去、伸びすぎた水草のトリミングなど。完全放置とは参りませんので、適当に醜くなった部分を掃除して下さい。
ネット等の記載では、「数週間に1度のペースで半分の水替え」とあるが、自然循環が上手くいっている水槽では、数か月間も水替え無しでも、生体は元気だし、水が濁る事もありません。

8. 最後に
近くの川や池で採取した生体を利用するのは、止めた方が良い。病気や細菌、やもすれば厄介なイカリ虫などが混入する。最悪の場合には、リセット以上の苦労を強いられる。君子、危うきに近寄らず。

 

グラスアクア(Glass Aqua)の薦め

     
  ビオトープは、ベランダなどの屋外育成が殆どだろう。つまり、積極的にそこに行かないと、ビオトープを眺める事はできない。問題が起きていれば足しげく通うが、落ち着いてくると億劫になる。これが、水草がボウボウになる要因でもある。
そこでお薦めなのが、ビオトープで飼育している水草の何本かをグラスに入れて、リビングなどのテーブルに添えて楽しむ方法である。若干光量が不足しそうなので、数時間は窓際に置くと良いだろう。とても小さな器だが、その中でミナミヌマエビを飼う事も可能だ。抱卵した個体なら、ちゃんと稚エビまで生まれてくる。但し、1~2匹までが限界で、稚エビが大きくなったら、ビオトープに戻そう。
グラスアクアの特徴は、小さい器ながらも、アクアリウムとしての存在美を持つ事である。多くの方々は、こんな小さな器にアクアリウムがちゃんと展開されている事に驚く。そして呟く「いいなぁー」と。以下に、そのポイントを紹介します。とても簡単なので、一度お試しあれ。

・グラスの選び方
小さくともアクアリウムとしての機能が必要なので、できるだけ容量は大きなものが良い。また、上部の開口部も広いほうが良い。イメージ的には大振りのブランデーグラスやワイングラス。また、横からの鑑賞がメインになるので、できるだけ薄くて模様が入らないものが良い。

水草の選び方
背景に背が高い水上葉、その周辺や前に水上葉ながらも水中化できる茎系の水草、水面には小さな浮草を浮かべ、水中にも南米ウィローモスやヘアーグラスなどの水中葉があると良い。生け花と通じる要領かも知れない。
比較的入手が困難だが、赤系の水草が入ればベストだろう。但し、水中では赤色の水草も水上葉は緑色で、水中化して暫くしないと発色しない。簡単なグラスアクアだが、赤系が入ったグラスアクアは、難易度がやや高い。
カモンバやアナカリスも良いが、環境が良いと大きく成長し他の水草が全く見えなくなってしまうので、単独のアクアグラスとするしかない。
※ビオトープ単独でも十分に楽しめるが、ビオトープをグラスアクア用水草のストックとして考えれば、ビオトープの維持もそれほど気に掛ける必要も無くなるでしょうか。

・グラスと水草以外に必要なもの
できるだけ長い期間、良好な状態を維持するには、バクテリアの存在は不可欠である。そこで、グラスの底には砂や小石を入れます。インテリア志向なので、カラフルな砂などがお薦め。水草の土壌ともなるので、小さいサイズのものが好ましい。生体への影響が不明な怪しいものは避ける。
あとは、水草を植え付ける時には、ピンセットがあると便利。指先では、水草の微妙な位置合わせができないから。

・水草以外には、何が入れられる?
メダカや赤ひれなどを入れたくなるが、残念ながらメダカが棲む環境には程遠い。流石に小さすぎる。ベタは大丈夫であろうか。但し、エサ遣りが必要になり、水質悪化も心配なので定期的なクリーニングが必要になるだろう。
ミナミヌマエビは、1~2匹なら問題ない。エサ遣りは不要。水を汚す事も殆どないだろう。ただ今、スーパーレッド・シュリンプ(濃い赤色)ダークブルー・シュリンプ(濃い青色)を飼育中で、繁殖が上手くいけば、これらのエビが入った「GlassAquaⅡ:麗美+1」「GlassAquaⅢ:幻美+1」の販売を計画している。

・メンテナンス
直射日光は厳禁で、玄関や窓際がベスト・ポジション。3日間食事用のテーブルに置いたら、1日窓際か玄関におく、そんなペースか。植え込む水草やリビングの環境にも左右されるので、水草の葉の色を見みながら、調節してください。新芽が成長せず濃い緑色のままなら光量不足です。明るい所でしばらく療養して下さい。反対に、グラスの汚れがひどい場合には光量過多です。
アクアリストにとってリシアの気泡は、一度は挑戦してみたい水景だが、装置などの条件があってなかなか大変で、実現した人は少ない。リシアの小片を浮かべたグラスアクアなら、窓際に置いておくだけで、リシアの気泡が見られる。
魚類を入れなければ、それほどは汚れない。汚れてきたら、シルコットなどでグラスの内部をクリーニングして下さい。
水が蒸発して少なくなるので、足し水をして下さい。
水草が伸びてきたら、適当にカットして差し戻して下さい。そのまま放置しておくのも自然感一杯で、それなりに面白いかも。

 

こぼれ話(1)


庭池の水辺に、近所から採取したコケを乗せておいたのだが、そこからスミレが生えてきた。花も咲き、積極的に脇芽も展開していた。そのスミレの長く伸びた脇芽が風に流され、先の芽の部分が池の中に水没してしまった。そのまま放置して数週間が経ってから見てみると、なんと、水中の葉元から根が生えていたのだ。
ならばと、グラスアクアとしてワイングラスに植え込んで見たところ、水深3cmの水中でも期待通り根付いた。水中には、少々の水草とミナミヌマエビを入れてみたが、いずれも元気に育っている。スミレは、ビオトープ用水草として利用する事が可能なのだ。水没させれば水中葉を展開するのかどうかは未確認。
おそらく、スミレが自生しているような水気の多い山の斜面、田んぼの周辺に生えている草類は、その大半が、ビオトープ用水草(根元が水中にあり、そこから根が生えてくる)として利用可能と思える。事実、そこら辺に生えているチドメグサも可能であり(さすがに水中葉だけでは、矮小化し元気ない)、庭池には、コケの中から生えてきた名もない雑草達も、風で水没した状態から、水上に向かって芽を伸ばしている。自然の生きる力は、想像以上にスゴイのだ。セリなどは、水中、水上問わず大繁茂。

次に、水草の意外な生態を紹介します。[@]は佐渡の屋外でも越冬可能。

(1)ハイグロフィラ[@]・・・脇芽を積極的に展開し増えていくのは良く知られるところ。茎はそれほど強くなく、ちょっとした風ですぐに倒れてしまいます。倒れてどうなるかと言うと、より遠くに新芽の部分が届き、更に脇芽が出て、増えていきます。これを1ヶ月も繰り返すと、辺り中がハイグロフィラになります。ミリオフィラムなど、茎が細くて真っすぐ上に成長する種類は、殆ど同じ状況になります。
寒くなると水上葉は萎れて枯れてしまうが、水中茎の部分で越冬する。

(2)ミリオフィラム[@]・・・繊細な葉姿が人気。成長や増え方はハイグロフィラと殆ど同じ。アクアリウムで綺麗な葉姿で育成する場合にはやや難しいとされている。水上葉で育成するならば、ハイグロフィラと同様に、簡単です。
越冬の仕方もハイグロフィラと同じ。

(3)ウォーター・マッシュルーム・・・沢山の平たい葉を水平に広げる姿は、なかなか面白い。では、その葉はどうやって広げていくのか。新しい葉が出てくると、葉は隙間を縫うようにして垂直になって茎を伸ばし、茎の長さが10センチ位になると、陽を沢山浴びられる様に、葉を水平にして大きくしていきます。株が小さいうちは、数センチで横に広げ、早く陽を浴びようとします。
通常は、地下にランナーを伸ばして増えます。大きくなった葉を、途中でカットして差し戻しすると、根が生えてきて成長を続ける場合がある。その条件は限定的なんだろうが、確率はかなり低い。大概は、黄色くなって枯れてしまう。

(4)アマゾン・チドメグサ・・・通常は、水中か水面に葉を浮かべて成長します。ところが、何かに当たって横に成長できなくなると、新芽を水上に持ち上げ、水上葉化します。水上化した葉は、通常よりも大きくなり、むしろ生き生きとした感じです。アマゾン・チドメグサは、元来は水上葉なのでしょうか。

(5)カボンバ[@]・・・完全な水中植物で、新芽が水上に出てくる様な状況だと、芽の部分は乾いて枯れます。ところが、花を咲かせる時期になると、通常の葉姿とは異なる葉(短くて少し幅広)を出して、水面に出てきます。そして、小さくて白い花を咲かせます。

(6)リシア[@]・・・アクアリストには著名な水草(浮草)。ところが、扱いはなかなか難しく、アクアリウムでは上級者向けとされている。これを何とか自然感豊かに育てようと、池の水面に浮かべている。ところが、いつまで経っても大きくならない。新芽は積極的に展開しているようなのだが。何故だろうと、ある日リシアを眺めていると、金魚が寄ってきて、これをムシャムシャと食べている。カボンバやアナカリスは、小さい口だけでこれを引きちぎるのは難しいが、リシアは簡単にばらけるので食いちぎる事ができるのだろう。う~む。

 
次に、それぞれの水草の屋外にある庭池内での越冬の状況を紹介します。佐渡の冬は、積雪は数10センチ程度、気温は寒い時でマイナスになる事もあるが殆どはプラスの日が多い。雪が降り続いた時は、水面にも降雪が見られ、さらに薄い氷が張る時もある。

(1)南米ウィローモス・・・調子を落とし、成長は完全に止まる。枯れる事もなく、じっと春を待つ感じ。

(2)カボンバアナカリスニテラ・・・南米ウィローモスと同様で、調子を落とし、成長は完全に止まる。カボンバの方が、早く調子を落とし、春になって回復するのも早い。

(3)リシア・・・全く冬を感じさせずに、葉色も綺麗な緑色を保ったまま越冬する。さすがに、葉の成長は遅い。

(4)ハイグロフィラリシマキア・・・水上葉は全て枯れてしまうが、水中葉は緑色を保っている。春になると、再び成長を始める。水中では、意外と強く、越冬も可能な様。

(5)アマゾンチドメグサドワーフフロッグビット・・・佐渡で屋外での越冬は無理でした。日当たりの良い屋内であれば、越冬は可能。

(6)メダカの卵・・・春の訪れと共に、親メダカがいないビオトープで10数匹のメダカの稚魚を見つけた。昨年の夏に抱卵した親メダカを数匹入れたのだが、脱卵とともにビオトープから移動させた事がある。信じられない事だが、卵の状態で越冬し、春になってから卵から稚魚になったとしか考えられない。

(7)エアープランツ・・・室内のインテリア用として人気のあるエアープランツだが、決して水遣り不要ではない。日光は好きだが、水もそれなりに必要。日の当たる屋外で放置育成が最適だろう。条件があえば、花を咲かせるし子株も形成する。ビオトープの流木や石の上に乗せて置けば、問題ないでしょう。景観に大きな変化を付ける事ができますね。

※もしかすると、水上環境ではマイナスになる事もあるが、水中ではマイナスにならないので、水中化が可能な水草なら、水中環境で越冬ができるのかもしれない。

 

こぼれ話(2)


Yutubeなどで紹介されているビオトープを見ていると、花菖蒲、ホテイアオイ、金魚藻などが多く利用されている。それなりの自然観は表現できるものの、どうしても人工的な印象はぬぐえない。「こぼれ話(1)」で紹介した通り、スミレが根を水中に伸ばすなら、他の植物はどうなんだろうと思い、次々とビオトープに植えてみました。

(1)チドメグサ・・・全く問題は無い。調子にのって水槽に全没させたら、展開する新芽がとても小さくなり、元気もなくなった。完全な水中葉としては無理な様。

(2)ニワゼキショウ・・・背丈10センチ位で、花菖蒲を小さくしたような葉姿が、とても可愛らしい。春には、小さな花を咲かせる。花菖蒲が水に強いので試しにビオトープに植えてみた。そのまま越冬し、翌年には花を咲かせました。

(3)リュウノヒゲ・・・チドメグサと同じ環境にあるので、どうなのだろうかと、根が完全に水中にある状況で試験中ですが、今のところ、新芽も展開し、大丈夫な様子。

(4)クローバー・・・これも水に強い。自然に生えているクローバーは試した事はないのだが、「四つ葉のクローバー」の種を購入し、ビオトープに撒いたら、新芽を出し、そのまま越冬もできた。僅かな数だが、四つ葉も発見できた。

(5)ハリイ・・・ビオトープの底に根を這わしながら、針状の葉を水上に展開して、積極的に子株を増やします。もちろん、屋外で越冬します。

(6)雪割草・・・佐渡に自生する山野草で、愛好家も多い。スミレが大丈夫ならとビオトープに根を水没させたら、数週間後には枯れてしまった。調子に乗ってしまった。可哀想な事をしました。

ここからは推測だが、太陽が当たらない方の山の斜面に生息する山野草、田んぼの脇道に生息する草花は、総じて水分を好む傾向にあるのだろう。完全に水没させてしまう水槽では難しくても、根だけを水中に置く程度であれば、これらの草たちは、問題なく生きていける様です。

そもそも、アクアリウムで使用されている多くの水草は、その殆どが自然界では水上または水面生活だと思います。
※ハイグロフィラ、ミリオフィラム、リシアキア、リシア、等々。

 

  ステレオ工房ポニーでの庭池の紹介と水草販売について

 
「こぼれ話」にもある様に、従来の既成概念や常識にとらわれず、自由奔放に庭池やビオトープを楽しんでいます。庭池には、10数匹の金魚・らんちゅうが数年越しに住んでいて、自然繁殖したメダカやミナミヌマエビも数えきれない程に入っています。水中には、南米ウィローモス、アナカリス、カボンバ、ニテラが植えてあり、ミズバショウとスイレンが大きな葉を展開しています。水面にはドワーフフロッグビット、オオサンショウモ、アマゾンチドメグサ、ルドウィジア・セドイデス、ホテイアオイ、リシアを浮かべてあります。岩や流木で自然感を出し、その周辺にも沢山の種類の水草を植え付けています。水草が繁茂し過ぎて金魚達が迷惑そうなので、カボンバやアナカリス、時にはミナミヌマエビまでも取り除き、廃棄しています。
午前中の1~2時間程度しか直射日光は差し込まず、それ以外の時間帯は、陽が差し込まずとも明るい状態にあります。屋根に降り注いだ雨水がトイを伝って庭池に流れ込み、一定の水量のところで溢れだす仕組みになっているので、適度な換水も出来ています。これにエビと貝類の活動も加わり、不要な藻類の発生は殆ど見かけません。とても楽ちんな環境です。今では、イトトンボの孵化も見られ、大型のヤゴの姿まである。時折、サワガニやアメンボも入ってくるが、悪さをするので退散してもらっている。
冬場(11月から3月の間)は、生体も休眠状態となりますので、販売も休止します。屋外で越冬できない生体は、大きな器に取り込み、室内の陽が差し込む場所で冬を過ごします。小型生体の一部は、リビングンや玄関の水槽にも避難させます。
生体の顔色も毎日違うのでなかなか大変ですが、手塩にかけて育てた水草達が元気に成長する姿には、とても癒されます。

販売する生体も、言わば自家栽培(自然繁茂)になりますので、販売数や状態もその時々で異なります。販売する時は、オーディオ機器の販売と同様、出品・出荷前には生体の状態をチェックし、掲載写真や商品説明の記載事項と同等品が提供できなければ、販売を休止します。時には、お取引も中止させて頂く事もあるかもしれません。自然相手なので、難しいところもあります。それでも、どの様な物・形であれ、お客様へ喜びや幸せを届けたい、そんな思いでビオトープを続けています。
YAHOO!ショッピング:PONY's アクアイズム ≫ および ≪ HP:佐渡の息吹 ≫ にて販売中です。

アクアリウム用語・まめ知識

   
越冬 熱帯魚もそうだが、水草もしかり。熱帯地域に自生する植物には、珍しい形や色合いのものが多く、アクアリウムやビオトープなどに多用されている。アクアリウムでは水温が25℃で設定されているので、真冬でも全く問題ないが、ビオトープなどを屋外に設置している場合、冬を越えられるかどうかは、ちょっとした問題である。南米原産の南米ウィローモスなどは、氷が張る程の屋外でも難無く越冬するが、それ以外の種類では、屋外で越冬できない場合が多いので、室内の温かいところに取り込むのが良い。ホテイアオイなどは、室内でもヒーターが無いと越冬は難しい。毎年買い替えている。
高光量 アクアリムなどで上部からライトを照らし、太陽の代わりとしているが、「高光量」とある場合には、さらに強力なライトが必要になる。つまり、限りなく日光に近い光量である。「高光量が必要」とある水草を、一般的なライトのみで育成させると、葉が溶けるように枯れていく。一方では、「高光量」環境ではコケも発生しやすいので、解決しなければならない課題も多い。経験者でなければ、「高光量」は避けた方が良いだろう。
グリーン
  ウォーター
グリーンウォーターとは、やや緑色がかった色をして、半透明な水です。緑色の原因は、大量発生した植物性プランクトンです。水を汲んで、日光の良く当たる場所に放置すると、大抵はこの様な水になります。水温が低くなる冬場では、グリーンウォーターにはなりません。プランクトンの活性度が下がるためです。
メダカや金魚の稚魚は、とても小さいので、親魚に与えたエサをそのまま食べる事が出来ないので、思う様に大きくならなかったり、時には死んでしまいます。ところが、このグリーンウォーターで育成すると、みるみる大きくなり、生存率も高い様です。メダカが産み付けた水草を、このグリーンウォーターに入れて置いたら、沢山のメダカの稚魚に混じって、赤い金魚の稚魚もいました。気を付けなければならない事は、水温の上昇です。30℃を越えると、プランクトンだけではなく、稚魚にも宜しくない状態となりますので、午前中は日光に当て、気温が上がる午後には、日陰に移動させると良いでしょうか。
魚にはとても良い環境なのですが、緑色の半透明な水なので、鑑賞用にはイマイチです。一生懸命に育てているのに、他の方からは、ほったらかしの状態と思われるでしょう。う~む。
コケ(対策) アクアリウムでもビオトープでも、コケに悩まされる事が多い。コケが発生する主な原因は、光が多すぎる、水質改善を担当する水草が少ない、エサの遣り過ぎも含めた養分過多である。つまりは、自然循環(放出する量と吸収する量をできるだけ一致させる)に過不足がある場合に、そのギャップが大きい程コケが発生する。
ビオトープで発生しやすいのは、アオミドロというドロドロとした緑色のコケ。田んぼ等に良く見かける。これが発生したら、先ずは出来るだけ物理的に除去してしまう。リセットする位の作業が望ましい。そして、バランスを改善するための、水質改善能力が高い水中葉や浮草を入れる。浮草は、水中の養分を吸収して成長する上に、成長が早い(つまり水質改善能力が高い)種類が多い。作業が終わったら、直射日光が当たらない場所に移動する。暗い場所もダメ。直射日光は入らずとも、それなりに明るい場所。明るくないと水草が成長しない。と言うか、置いた場所が不適切であったから、コケが発生したと認識すべし。
水槽内で発生するコケとして、ガラス面に付くコケが最初に出会うコケ。これは、比較的良好な状態でも発生する。解決策は、イシマキガイの投入。数日もするとピカピカになります。次いで多いのが、緑色をした糸状のコケ。これは、ピンセットで除去します。比較的簡単に除去できますが、作業が遅れると水草に絡みついて結構な手間になる。一番悩ましいのが、黒い髭状のコケ。ハッキリ言って、効果的な方法を知らない。ネット情報の定番のフレーズ「コケ対策にエビ」は、殆ど効果は無い。水流が強いと発生するとの事だが、フィルターを入れている以上、水流が強いと言われても・・・。水流が強くないと水槽内の全ての水を循環でず、むしろ新たな問題が生じる。多くの市販のコケ対策品を使ってみたが、何の効果もない。一番良いのは、適切な自然循環の確立と、年2回のリセット作業か。
差し戻し 有形草などは、成長が早く、直ぐに水面にまで達して、水景が見苦しくなる。そこで、茎の途中からカットして、芽のある上部を砂底に差して戻す作業を言う。カットしたすぐ上の葉元から、白い根が出てくるので、問題はない。差し戻しする場合には、一番下の葉を葉元から数ミリを残してカットする。砂地に埋められた葉は腐ってしまい、水を汚す原因になるからである。葉元を少し残しておくと、これが差し戻した時の砂地の中で支えとなり、植え込みが楽である。
早く数を増やしたい場合にもこの作業を行う場合がある。先の部分はそのまま成長し、カットされた根元部分の葉元からも新芽が展開するので、合計で2本になる。さらに数を増やしたい場合には、水草を横向きに寝かせて少し砂をかけておくと、各葉元から、沢山の芽が出てくる。但し、必要な背丈になるまでには、時間もかかる。安く仕上げるには、努力と時間が必要と言う事か。
CO2添加 水中があまり得意でない水草を、水中育成させる方法として、CO2(二酸化炭素)添加がある。大気中の二酸化炭素(CO2)量に比べて、水中の二酸化炭素量は少ないので、これを補うのである。
圧縮された二酸化炭素が充填されている小型ボンベから水中へ細いホースで誘導し、目の細かなフィルターを通して、水中へ霧のようにして二酸化炭素を送り込む。それなりの装置と、ボンベの買い足しが必要になり、費用もバカにならない。添加量にも注意が必要になり、これを行うとコケも発生しやすいので、「高光量」と同様に、初心者は避けた方が良い。
水上葉 アクアリウムに利用する水草を、水上で育成させたものである。もともとの生育環境に近いので、成長も早く生体にも活力がある。ところが、「アクアリウム図鑑などで調べた水草を購入したら、全然違う水草が届いた」などとグチをこぼす方がいるが、勉強不足である。
水中葉 水中で生育させた時に展開する葉で、水上葉と全く異なる容姿の場合もある。
また、熱帯魚屋さんで売られている水草も、水中に沈められていても、仕入れたばかりの時には水上葉が中心の場合もあるので、水上葉と水中葉の違いは知っておく必要がある。水槽に入れて暫くしたら違う水草になったとか、ここで売っている水草は色が綺麗でないから不良品だとか思わぬ様に。
インターネット販売の場合、水中葉の保存・保管の問題、水を入れた包装容器も必要になり、送料も高くなる。従い、インターネットで水中葉が売られている事は少ない
スカベンジャー スカベンジャー(scavenger)とは、腐食動物とか廃品回収業者とか、一般的には好かれない立場にある人や動物を指すが、彼らが存在しないと、世の中はゴミだらけになってしまうのは事実である。
アクアリウムでは、エビ類やコリドラス、貝類を指す。ちなみに、水槽のガラスがコケで茶色く汚れてしまい困った経験はないですか。スポンジなどで拭き取っても、ガラスは綺麗になるが、取り除いたコケは水槽内を浮遊する。イシマキガイを数体入れておくと、ガラスに張り付いたコケを食べてくれるので、いつもピカピカです。彼らが這いまわる姿は、ロボット掃除機の様。エビは藻やコケを食べ、コリドラスは底に沈んだ魚の食べ残しを、掃除機の様な口で、当に掃除するが如きに食べ拾います。物理的にこれらの不要物を除去するのは大変ですが、彼らを入れておくだけで、それらの問題は簡単に解決します。実は彼らは、自然循環を良い方向に向かわせる重要な一員なのです。経験豊かなアクアリストの水槽内には、必ず彼らが存在します。
前景草
中景草
後景草
アクアリウムでは、水槽を正面から水平に見る事になるので、前方には背丈の短く成長の遅い水草(前景草)、後ろには丈の長い水草(後景草)を植える事になる。その中間が中景草である。匍匐する傾向にある水草(アマゾンチドメグサ、ルドウィジアグリーンなど)は、中景部の左右どちらかに配置しておくと、中央に向かって斜めに成長するので、良いアクセントになる。何故か、水上では匍匐するリシマキアは、水中では真っすぐに伸びる。
成長の早い水草は、直ぐに水景を見苦しくし、成長の遅い水草はコケがつきやすい。どちらも悩ましい。
余談だが、底に敷く砂の量も、前方は薄く、奥に向かって徐々に高く敷くと良い。
ビオトープでは、上方から鑑賞する事が多いので、必ずしも前景・後景の区別は必要ないかも知れないが、成長が早い遅い、成長した時の茎丈、匍匐するのか直立するのか、子株の増え方などは知っておいた方が良い。こうなるだろうと計画してその通りに実現した喜び、何でそうなるとガッカリしたり・・・。
アクアリウムであれ、ビオトープであれ、水草の性質を知ってこそ、目指す水景を実現し易い。
テスト
 フィッシュ

(パイロットフィッシュ)
水槽を立ち上げた直後は、バクテリアの効果や各装置が正常に作動しているかどうかは、目視ではなかなか分かりません。そこで、テストフィッシュを入れて、かれらの生存状況を観察し、正常に生きていければ、水質・環境として問題ないと判断されます。問題があるならば、可愛そうではあるが、彼らは死んだり調子を落としたりします。
一方では、環境に最も影響の大きい魚類が入ることで、容器内の生体バランスを早く構築できる(バクテリアの早期確保と自然循環を整える)というメリットもあります。
トリミング 見苦しく繁茂した水草をカットして、水景を整える作業。トリミングと合わせて、枯れてしまった葉の除去や砂底に溜まったゴミなども除去します。狭く密集した部分に手を入れるので、それなりの用具を揃えておかないと、綺麗に仕上げるのも難しいでしょう。最低でも、先が細く長い特殊なピンセット、刃先が細いハサミなどでしょうか。
トリミング後は、水景が改善されるだけでなく、水の流れがスムーズになり、各水草への光の当たり方も良好になるでしょう。最低でも2~3ヵ月に一度位のペースで行いたいものです。
ビオトープと
メダカ
ビオトープと言えばメダカ飼育と決まっている様な風潮がある。そして、ビオトープやメダカの飼育に失敗する原因もそこにある。水草が二酸化炭素を酸素に変え、メダカは酸素を吸って二酸化炭素を出す。上手く循環しているように思える。ところが、実際には上手く循環しない。理由は、水草の酸素発生能力とメダカの酸素消化量の違いである。おそらくは、飼育するメダカの数に対して、水草の量が少ないケースが多い。スイレンや有形草の多くは、水中に酸素を供給しない。メダカに酸素を送り出すのは、水中葉の水草である。従い、メダカを飼育するなら、相当量の水中葉を入れる必要がある。
加えて、メダカに与えるエサの量も問題になる。エサの食べ残しは、バクテリアを通して水草の肥料になるが、水草の消費能力を越えてエサが残る場合には、これが水質を悪化させ、過養分による藻やコケが発生し、最終的にはメダカを死に至らしめる。
メダカは、凍てついた池の中でも越冬する。冬の間はエサも食べない。つまり、数か月間は、何も食べなくても生きていける。また、水中には様々なプランクトンを始めとする微生物が存在し、メダカはそれらを食べて生きていく。
加えて、この循環を実現するためには、相当量の水が必要(水は自然循環のキーパーツ)であり、小さな器の場合には、メダカは入れない方が良い。金魚などは、全くの論外である。エビは、酸素の消費量が少なく、エサを与える必要もないので、水を汚す事も少なく、小さな器の中でも生きいける。
ランナー 水草の増え方には、いくつかのパターンがあり、根元から横に向かって細い芽の様なもの(ランナー)を伸ばし、一定の長さに達すると、そこから新芽が展開されます。砂の中で伸びていくので、新芽が砂地から顔を出すまでは気付きません。
ヘアーグラス、ウォーターマッシュルームなどが、この方法で増えていきます。
リセット アクアリウムやビオトープでは、自然が相手なので、時間が経てば意にそぐわない状態に至る事が多々ある。人の嗜好も変わる(現状の水景に飽きる)。そこで、トリミングや掃除などではなく、全面的に作り直す作業が必要になる。そして、これを機会に、容器を変えてみたり、新たな生体を投入したりもする。言わば、リセットは、ステップアップの絶好機とも言える。
タイミング的には、成長期を迎える前:3月~5月と越冬準備の10~11月頃であろうか。
夏場は、気温の上昇(30℃越え)と共に、水草達が調子を落とす。魚達も元気がない。実は、寒い時期を中心にして10月~6月までが一番の見どころとなる。水温は25℃前後で一定になるので、水草も絶好調。
リセットの手順については他の記事に任せるが、生体を一時退避させる容器やら、新たに投入する生体やアクセサリの準備等々、リセット作業よりも事前準備の方が大変であり楽しい一時でもある。
脇芽 水草の増え方の一つで、有茎草に見られる増え方です。親株は、葉を沢山展開しながら、伸びていきます。親株に十分な活力が保持された時、葉と茎の付け根部分から新芽を出す事があります。これを脇芽と言います。必ず出ると言う訳ではなく、また、なかなか脇芽を出さない種類もあります。ハイグロフィラは、何もしなくとも、各葉の付け根から、必ずと言っても良い程に脇芽が出てきます。
一番簡単に脇芽を出す方法は、親株の新芽の部分を取り除くと、生長点を失った親株は、脇芽を積極的に出します。なかなか脇芽が出ないミリオフィラムも、芽がある頭頂部をカットすると、一挙に数本の脇芽を出す事があります。
 

 

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